新幹線のモバイルオーダーはグリーン車以外でも使える?やり方や注意点

新幹線のモバイルオーダーはグリーン車以外でも使える?やり方や注意点

東海道新幹線では2023年10月31日をもって従来のワゴンによる車内販売サービスが終了し、翌11月1日から新たにスマートフォンを活用した「モバイルオーダーサービス」が導入されました。

これは乗客自身が座席に備え付けのQRコードを読み取り、スマホ上で飲み物や食べ物を注文できるサービスで、グリーン車利用者限定の「新しい車内サービス」です。この背景には、駅の売店や自動販売機で購入して車内に持ち込む乗客の増加や、静かな車内環境を求める声、人手不足への対応などがあり、JR東海はモバイルオーダー導入により快適性向上を図るとしています。

一方で、「モバイルオーダーはグリーン車以外でも使えるのか?」という疑問をお持ちの方も多いでしょう。以下では、まず新幹線のモバイルオーダーサービスの概要を説明し、次に具体的な利用方法、そしてグリーン車以外で使えるかどうかについて解説します。

目次

新幹線のモバイルオーダーとは?

新幹線のモバイルオーダーサービスとは、東海道新幹線のグリーン車座席でスマートフォンから飲食物を注文でき、パーサー(客室乗務員)が席まで届けてくれるサービスです。

東海道新幹線「のぞみ」「ひかり」のグリーン車各座席にはQRコードが設置されており、乗客は自身のスマホやタブレットでそれを読み取って注文を行います。メニュー一覧からコーヒー、お茶、ソフトドリンク、アルコール、おつまみ、アイスクリーム、さらには駅弁やサンドイッチなどの軽食まで選ぶことができ、注文を確定すると数分後にパーサーが商品を席まで届けます

支払いは現金や交通系ICカード(Suica・PASMO等)、クレジットカード、QRコード決済(PayPayや楽天ペイなど)にも対応しています。注文時に座席番号や降車駅を入力する仕組みになっており、これは注文が混み合った場合に降車駅が近い乗客を優先して配達するためと考えられます。

モバイルオーダー導入前はパーサーがワゴンを押して車内を巡回していましたが、このサービスでは自分のタイミングで落ち着いて商品を選べるのが大きなメリットです。従来のように「今ワゴンが来たから急いで買わなきゃ」と焦る必要がなく、周囲に声を張り上げることもない静かな購入体験が可能です。

新幹線のモバイルオーダーのやり方

東海道新幹線グリーン車でのモバイルオーダーの利用手順は次のとおりです。

新幹線グリーン車 モバイルオーダー手順 QR→入力→確定→受取・支払

※ 車内状況により提供時間・メニューが変わる場合があります。案内画面の注意事項に従ってご利用ください。

項目 要旨 解説 参考
QRコードを読み取る 座席ポケットのQR。 座席ポケットの案内リーフレット(おもてなしのご案内)に貼付のQRをスマホ等で読み取り、モバイルオーダー専用Webを開く。
画面のメニューから「モバイルオーダー」を選択(サポートは「サポートコール」)。
news.allabout.co.jpameblo.jp
注文内容の入力 号車・座席・降車駅。 まず号車番号/座席番号/降車駅を入力。
メニューから飲み物・食事・スナック等を選びカートに追加(1回5品まで)。画面の指示に従ってタップで選択。
news.allabout.co.jp
注文確定 内容と金額を確認。 選択後、注文内容/合計金額を確認し、問題なければ「注文確定」で発注。情報が車内のパーサーへ送信され、準備が開始される。 news.allabout.co.jp
商品受け取りと支払い 席までお届け・多彩決済。 数分以内を目安にパーサーが手提げバッグで席へ来訪し商品をお届け。内容確認後その場で決済。
決済は現金/クレジット/交通系IC(Suica/PASMO等)/主要QR・バーコード決済に対応。
レシート(領収書)がその場で発行・手渡しされる。
jr-plus.co.jpnews.allabout.co.jp

事前にアプリをダウンロードする必要はなく、QRコード読み取りによってブラウザ上で完結する仕組みのため気軽に使えます。また、追加注文も可能で、例えば食後にコーヒーをもう一杯頼む、といったことも同様の手順で行えます。

なお、注文の事前予約や事前決済には対応していません。乗車前にスマホで予約しておいて列車に乗ったら配達、ということはできず、必ず乗車後に注文操作を行う必要があります。そのため、もしグリーン車で食事や飲み物を楽しみたい場合は、乗車後早めにモバイルオーダーを活用するのがおすすめです。

新幹線のモバイルオーダーはグリーン車以外でも使える?

結論から言えば、東海道新幹線のモバイルオーダーサービスはグリーン車専用であり、普通車では利用できません。モバイルオーダーのQRコード自体がグリーン車の座席にのみ設置されており、普通車には設置されていません。

また、JR東海公式も「モバイルオーダーサービスは『のぞみ号』『ひかり号』グリーン車ご利用のお客様向けのサービスです」とはっきり案内しており、普通車での車内販売サービス(ワゴン販売・モバイルオーダーともに)は提供されていない状況です。

では、「普通車に乗っている人がグリーン車に行ってQRコードを読み取れば注文できるのか?」という疑問があるかもしれません。しかし、実質的にはそれも難しいと言えます。グリーン車のサービスはあくまでその車両の乗客を対象としており、仮に普通車の乗客がグリーン車に入り込んでQRコードを読み込んでも、パーサーが席まで届けに来るのはグリーン車内の指定された席です。自席(普通車席)番号を入力しても対応エリア外であり、サービスの対象外となります。また、グリーン車は指定された乗客以外の立ち入りはマナー上も望ましくありません。

実際、JR東海リテイリング・プラス(車内販売担当の関連会社)の公式FAQでも「ご乗車前に駅の売店等でお買い求めいただくか、『のぞみ』『ひかり』グリーン車にご乗車後、モバイルオーダーサービスをご利用ください」と案内しており、普通車利用時は事前に駅で購入するよう促されています。

つまり、普通車利用者がモバイルオーダー相当のサービスを受けるには、乗車前に駅弁・飲料を買って持ち込むか、あるいは最初からグリーン車に乗るしかないということです。

新幹線のモバイルオーダーを利用する時の注意点

それでは最後に、東海道新幹線のモバイルオーダーサービスを実際に利用する際の注意点を3つ説明します。

注意1: 余裕をもった注文タイミング(ラストオーダーに注意)

モバイルオーダーは便利なサービスですが、注文するタイミングには注意が必要です。まず、列車に乗った直後すぐにはサービス受付が開始されていない場合があります。

例えば、始発駅を出発した直後などは準備のため注文受付が「ただいま停止中」と表示されるケースがあり、これはパーサーが積み込んだ商品の準備や確認を行っている時間帯だからです。

さらに、列車の到着間際には注文受付が締め切られる点にも注意しましょう。公式にも「ご注文の時間等によってはお待たせする場合や、お客さまの目的地までに商品をお届けできない場合がございます」と明記されています。モバイルオーダーを使う際は時間に余裕をもって注文することが重要です。

注意2: 支払いは受け取り時(事前決済不可、現金・電子マネー対応)

モバイルオーダーの決済は商品受け取り時に行うという点も押さえておきましょう。注文時にクレジットカード情報などを入力する必要はなく、配達に来たパーサーに対してその場で支払う方式です。事前決済や後払いには対応しておらず、受け取りと同時に清算となります。

このため、支払い手段を乗車前に準備しておくことが大切です。幸い、支払い方法は非常に充実しており、現金のほか主要なクレジットカード、交通系IC(PiTaPaを除くSuica・ICOCA系)、さらにPayPay・d払い・楽天ペイ・メルペイなどのバーコード決済にも対応しています。

パーサーは携帯端末を持ち歩いており、カード読み取りやQR決済にも対応できるようになっています。例えば高額な駅弁や複数商品を注文してもクレジットカードでスマートに支払えるので安心です。

逆に言えば、乗客側がその場で決済できる手段を持っていないと購入できません。車内では両替も難しいため、現金ならあらかじめ千円札や小銭を用意し、電子マネーなら残高を確認しておくと良いでしょう。また、領収書が必要な場合は受取時にパーサーに申し出れば、名前入りの領収書(社名・但し書き記載)を発行してもらうことも可能です。

注意3: 商品の在庫・提供メニューに制限あり

モバイルオーダーで注文できる商品は多岐にわたりますが、在庫や提供メニューには一部制限があります。まず、列車や時間帯によって販売していない商品があります。例えば、アルコール類では、その列車に在庫を積んでいない場合があることが明記されています。

また、人気商品や数量限定の商品(限定スイーツや高級ウイスキーなど)は数に限りがあり、売り切れている場合もあります。実際にJR東海の公式サイト上でも、「(数に限りがあり販売していない場合もございます)」と注意書きが付されている商品がいくつか見られます。したがって、お目当ての品が確実に手に入るとは限らないという点は念頭に置いておきましょう。

特に、駅弁やサンドイッチなどの食事系メニューは数が限られる傾向があります。グリーン車の定員自体が少ないため大量の在庫は積んでおらず、乗車状況によっては途中駅で補充することも難しいためです。

まとめ

東海道新幹線のモバイルオーダーサービスは、スマートフォン一つでグリーン車の座席にいながら注文が完結する画期的なサービスです。コーヒーから駅弁まで、まるで空のファーストクラスのようなおもてなしを受けられる反面、そのサービス範囲はグリーン車に限定されており、普通車では利用できません。

利用方法自体はQRコードを読み取って選ぶだけと簡単ですが、利用する際は注文のタイミングや在庫状況、支払い方法など今回解説した注意点に気を配る必要があります。特に「乗車後すぐ・降車前に余裕をもって注文する」「支払い手段を用意しておく」「在庫切れの可能性も考慮する」といった点を押さえておけば、初めての方でもスムーズにサービスを享受できるでしょう。

最後に、現在モバイルオーダーが提供されているのは東海道新幹線のグリーン車のみですが、今後の状況によってはサービス拡大の可能性も考えられます。鉄道各社も乗客のニーズを踏まえてサービスを見直している最中です。2023年の導入以降、利用者からは「自分のペースで注文できて便利」「グリーン車の価値が上がった」といった好評の声も上がっています

今後もし普通車向けに同様のサービスが開始されれば嬉しい限りですが、現時点ではグリーン車に乗車することでしか体験できない特別なサービスです。グリーン車に乗る機会がありましたら、ぜひ一度このモバイルオーダーを試してみてはいかがでしょうか。きっと、新幹線での旅がより快適で豊かなものになるでしょう。

参考文献

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