飛行機に搭乗する際は「携帯電話やスマホは機内モードにしてください」と必ず案内されます。もし機内モードにしないとどうなるのか、「本当に飛行機に影響するの?」「乗務員にバレる?」「罰則はあるの?」と疑問に思う方も多いでしょう。
結論として、機内モード非設定は法律で禁じられた行為で、安全上のリスクがあるため必ず設定すべきです。万一悪質な違反と判断されれば罰金などの罰則もあり得ますが、機内モードを忘れる人は実際かなり多く、航空業界でも問題視されています。
この記事では、飛行機で機内モードにしないとどうなるのか、安全リスクやバレる可能性、国内線・国際線での違い、違反時の罰則内容について詳しく解説します。
飛行機の機内モードとは?
飛行機の機内モードとは、スマートフォンやタブレットなどの端末が発する電波を一時的に遮断する機能です。 航空機内では電子機器の無線通信が航空機の計器や通信系統に干渉するおそれがあるため、日本では航空法により全ての航空会社で機内モード設定が義務付けられています。
機内モードをオンにすると携帯電話回線やWi-Fi、Bluetoothなどの送受信が停止し、機内で端末を使用しても電波を発しない状態になります。つまり、メールや通話など通信を伴う機能は使えなくなりますが、端末内に保存した音楽・動画再生やオフラインゲーム、メモ機能など通信不要な操作は継続可能です。
小型端末でも発する電波は敏感な航空機器に影響し得るため、離陸前に全乗客が機内モードに切り替えることが航空の安全マナーとなっています。「本当に必要なのか?」と思うかもしれませんが、乗客全員が協力して初めて安全が保たれる重要なルールなのです。
飛行機で機内モードにしないとどうなる?
機内モードを怠った場合に何が起こるのか、国内線の場合と国際線の場合に分けて解説します。安全上の影響と規則違反による罰則、さらに国際線特有の通信料金トラブルについて順に見ていきましょう。
国内線の場合
国内線では、機内モード非設定は法律違反となり、悪質な場合は最大50万円の罰金が科される可能性があります。 航空法では、機内で携帯電話などを正当な理由なく作動させる行為は「安全阻害行為等」として禁止されており、機長の指示に従わず継続した場合に罰則の対象となります。
これは、スマホの電波が航空機の無線や計器に干渉し、安全な運航に支障を及ぼす恐れがあるからです。実際、パイロットの交信中に乗客の携帯電波が混信してノイズが発生し、離陸前の機体が遅延したケースも報告されています。
機内アナウンスで繰り返し注意されるのはこのためで、国内線ではドアクローズ(離陸準備)からドアオープン(到着後)まで、全ての乗客が機内モードを維持することが求められます。
乗務員は離着陸前に「電源を切るか機内モードにしてください」と巡回確認しますが、もし故意に無視すれば搭乗拒否や降機命令など厳しい措置もあり得ます。国内線は飛行時間が短く、上昇降下のタイミングが早い分、スマホ設定の猶予も少ないため必ず事前に機内モードへ切り替えましょう。
国際線の場合
国際線の場合も基本的に機内モードは必須で、安全確保のためのルールという点は国内線と変わりません。 海外の航空会社でも離陸前に電子機器の通信を切るよう指示されるのが一般的で、各国で法令や社内規定により機内モード設定が求められています。
例えば、米国では客室乗務員の指示に従わないこと自体が連邦法違反となり、悪質な場合は降ろされたり罰金刑の対象にもなり得ます。もっとも、うっかり機内モードにし忘れた程度で即逮捕されることは稀で、通常は乗務員から厳しめの注意を受ける程度で済むでしょう。
国際線で特に注意すべきなのは、機内モードを切り忘れたことによる思わぬ高額通信料トラブルです。 飛行機が高度を上げると自分の携帯は圏外になりますが、機内モードにしないままだと上空で提携先の衛星通信や外国の基地局電波を捉えてローミング接続してしまうことがあります。
その結果、知らないうちに数万円ものデータ通信料が請求されるケースが実際に報告されています。海外旅行でスマホを使用する際、「パケ死」と呼ばれる予想外の高額請求を避けるためにも搭乗後はすぐ機内モードをオンにする習慣が有効です。なお、一部の国際線では機内での携帯通話や通信を可能にする機内Wi-Fi・モバイル通信サービスを提供しています。


飛行機で機内モードにしないとバレるのか?
結論から言えば、機内モードにしていなくても即座に誰かにバレるケースは多くありませんが、だからといって安心はできません。 乗務員が全乗客の端末状態を個別に監視することは不可能なので、こっそり通信していても見た目では分からないでしょう。
実際、「機内モードにしなくても乗務員に注意されなかった」という経験談も耳にします。しかし、電波を発する端末は何らかの形で発覚する可能性があります。
例えば、スマホの強い電波が操縦席の通信機器に干渉するとヘッドセットに「ブーン」という雑音が入り、パイロットが異常に気付いて原因調査を行うことがあります。その時間帯に通信を続けていた端末が特定され、乗務員がその持ち主に設定確認を求めたという事例もあります。
また、機内Wi-Fi利用中に不自然な通信ログが検出されて「機内モード忘れの端末がある」と全員に再アナウンスされたケースや、周囲の乗客に画面を見られて指摘されたという例もあります。近年では、一部の最新機材に機内で発信される電波の発信源を検出できるシステムを搭載しているという報告もあり、完全に隠し通せる保証はありません。
そもそも「バレなければいい」という問題ではなく、機内モード未設定は周囲の安全と快適さを損ねる迷惑行為になり得る点を認識しましょう。たとえ注意されなくても、自分の電波のせいで誰かの仕事がやりにくくなっているかもしれません。機内モードのルールは全員の安全とマナーのためです。バレるかどうかではなく、初めからルールを守ることが肝心と言えます。
機内モードオフで起きた過去の事故
スマホを機内モードにしなかったことが直接原因で飛行機が墜落したという事故は、幸いなことに記録上存在しません。 現代の航空機は電子機器からの微弱な干渉には一定の耐性を持っており、乗客のスマホ1台がただちに重大トラブルを引き起こす可能性は極めて低いのが実情です。
実際、世界中で毎日多くの人がうっかり機内モードにし忘れていますが、それだけで航空機が制御不能に陥るようなら既に大事故が頻発しているでしょう。しかし、間接的な影響は無視できないため油断は禁物です。 航空当局(例えば米FAA)は「携帯電話の信号が高度計など重要機器に干渉し得る」ことを使用禁止の理由に挙げています。
離着陸のように繊細な局面で、もし通信エラーや計器誤作動が生じればパイロットの判断が遅れ、事故に繋がるリスクが高まります。実際に過去には、離陸直後に航空機の航法装置に異常が発生し、乗客の携帯端末の電波干渉が疑われたケースも報告されています。
2000年代には、パイロットが高度計の誤表示に気付かず墜落した事故で「直前に乗員が携帯電話を使用していたこと」が議論された例もあり、専門家からは「電子機器の干渉が一因だった可能性」を指摘する声もありました。
航空会社や国際機関が機内モード遵守を厳格に求めるのは、過去の教訓と長年の実験データに基づく予防策といえます。安全のために「念のため」のルールでも、全員が守れば確実な効果があります。機内モードを徹底することで不要なトラブルの芽を摘み、重大事故の芽も未然に潰すことができるのです。
機内モードにしない人が多いのは本当なのか?
結論として、機内モードにしない人は実際に少なくありません。 あなたが「つい忘れてしまった」経験があるとしても決して特別ではなく、むしろ多くの乗客が同じ間違いをしています。
ある調査では、アメリカ人旅行者の約40%が過去に機内モードにしなかったことがあると回答し、そのうち14%は「飛行中にこっそり通話やSMSを使った経験がある」と認めています。
日本でも正式な統計こそありませんが、乗務員の感覚では「毎便必ず数名は機内モード未設定の端末がある」状態だと言われます。実際、機内アナウンスで再三注意されても「自分一人くらい大丈夫だろう」と思う人が一定数存在するのが現状です。航空業界でも「機内モードにしない乗客が多い」ことは安全上の課題として認識されており、特にビジネス利用などで飛行機に乗り慣れた人ほど油断してルールを怠る傾向があるとも指摘されています。
こうした状況を受け、各航空会社は乗客への啓発や乗務員からの声掛けを強化しています。それでも機内モード忘れが後を絶たない背景には、「本当に危険なのか半信半疑」「つい面倒で後回しに」という心理があるでしょう。
しかし前述の通り、機内モードは万一への備えとして欠かせないルールです。多数の人が守らないからといって許されるものではなく、一人ひとりが意識を改める必要があります。「自分だけなら…」という油断が事故やトラブルの火種になり得ることを忘れず、全員で安全文化を支えていきましょう。
機内モードのオンは乗客の責任
飛行機で機内モードにしないとどうなるのかを見てきました。機内モード非設定は法令違反であり、安全阻害行為として厳しく禁じられています。国内線でも国際線でも基本ルールは同じで、離陸から着陸まで全乗客が通信をオフにすることで電波干渉のリスクを最小限に抑えています。
機内モードをしない人は決して少なくありませんが、「今まで大丈夫だったから」と油断するのは非常に危険です。たとえ直接事故を起こす可能性が低くても、パイロットの集中を乱したり機器の異常を招く間接リスクは現実に存在します。
また、悪質な違反には最大50万円の罰金など罰則が科される場合もあり、国際線では高額ローミング料金という思わぬ代償もあり得ます。安全で快適なフライトのためには、自分と周囲のために必ず搭乗前に機内モードに設定しましょう。
機内モードにすることは航空会社からのお願いであると同時に、法律で定められた乗客の責任です。ルールを守って空の旅を楽しみ、もし「うっかり忘れていた」場合でも速やかに乗務員に申し出て対応するようにしましょう。機内モードを活用すればバッテリー節約や通信費節減にもつながり、一石二鳥です。マナーと安全意識を持って行動し、みんなが安心できる空の旅を心がけてください。
参考文献
- 生活情報サイト「ハウスケアラボ」『飛行機でスマホを機内モードにしないとどうなる?』 https://housecarenavi.com/airplane-mode (取得日: 2025-08-28)
- 国土交通省「航空機内の安全阻害行為等」 https://www.mlit.go.jp/koku/15_bf_000134.html (取得日: 2025-09-04)
- JAL「電子機器類のご使用について」 https://www.jal.co.jp/jp/ja/dom/service/fly/onboard/electronics/ (取得日: 2025-09-04)
- WIRED.jp「スマートフォンを機内モードにしないと何が起きるのか?」 https://wired.jp/article/airplane-mode-safety/ (取得日: 2025-09-04)
- Bon Voyage「飛行機で機内モードにしないとどうなる?バレる?罰則は?」 https://bonvoyagejapan.com/airplane-mode/ (取得日: 2025-06-15)
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