長時間フライトの快適グッズとして注目される携帯用フットレストですが、機内で使用しても良いのか疑問に思う人も多いでしょう。
結論から言えば、「フットレストの機内使用ルールは航空会社ごとに異なり、一律に全面禁止とは限らない」のが現状です。安全性やマナーの観点から制限が設けられている場合もあるため、事前に各社の規定を確認しましょう。
本記事ではフットレストの定義や航空会社別のルール、そして代用品となる快適アイテムを解説します。快適な空の旅のためにぜひ参考にしてください。
飛行機のフットレストとは?
飛行機のフットレストとは、座席で足を楽にするための足置き具のことです。主にエコノミークラスなどで足のむくみや腰痛を軽減する目的で使われ、代表的なものに吊り下げ式フットレストや空気で膨らませるクッション式があります。
最近は、通販サイトなどで「機内で使える足らくらくグッズ」と宣伝され、数千円程度で販売されている商品も多く見られます。しかし、形状によっては前の座席のテーブルを壊す恐れが指摘されており、利用には注意が必要です。

また、国際線機材の一部やプレミアムエコノミー以上の座席には備え付けのフットレスト(折り畳み式の足置き板)が付いている場合もあります。携帯型フットレストはこうした設備がない座席で手軽に使えるメリットがある一方、安全面や周囲への影響から各社でルールが定められています。
飛行機でフットレストは禁止されている?
フットレストの使用が完全に「禁止」かどうかは航空会社によって異なります。 多くの航空会社は安全上の理由から一定の条件下で使用を許可したり制限したりしており、「全面的に持ち込み禁止」としているケースは一部に限られます。
たとえば、日本のLCC(格安航空会社)であるPeach Aviationでは、座席テーブルに掛けるハンモック式フットレストの使用は禁止と公式に案内されています。実際に、機内テーブルの想定外の負荷により破損事故が起きた事例があり、テーブルは本来食事や書類記入用のため、こうした用途での使用を固く断っているためです。
一方で、日本航空(JAL)や全日本空輸(ANA)などフルサービスキャリアでは、携帯用フットレストの使用を一律に禁止せず、座席の場所やタイミングに応じて条件付きで許可しています。
例えば、離着陸時やシートベルト着用サイン点灯中は使用禁止、また緊急時の脱出経路を妨げるおそれがある座席(通路側や非常口席など)では不可といった具合です。
フットレストに関する航空会社別のルール
では具体的に主要な航空会社でどのような取り扱いになっているのか、ポイントを整理します。これから3つのケースを順に説明します。
※ 同じ航空会社でも機種・座席位置で取扱いが異なる場合あり。最終判断は乗務員。最新の公式案内を必ず確認してください。
航空会社 | 要旨 | 詳細 | 参考 |
---|---|---|---|
日本航空(JAL) | 条件付きで使用可。 |
機体・設備を損傷せず/シートベルト正しく着用/他客の快適性を妨げないことを満たせば使用可。 足元をふさぐタイプは原則窓側席・中央ブロック中央席のみで可、通路側は不可(家族同士でも不可)。 離着陸時・揺れが予想される時間帯は使用不可。乗務員判断で中止指示あり。 |
faq.jal.co.jp |
全日本空輸(ANA) | 条件付き/吊り下げ式禁止。 |
基本基準はJALに準拠し、使用は窓側席または中央席限定。 ハンモック型(吊り下げ式)フットレストは使用不可と明記。テーブルへの負荷や前席への振動・迷惑防止のため。 非常口席は常に足元クリアが要件のため使用不可。 |
jisin.jp |
その他の航空会社 | 全面禁止の例あり。 |
ルフトハンザ航空は安全上の理由で携帯フットレストを全面禁止(機内持込・使用不可)。 ユナイテッド航空は「座席の改造」に当たるとして機内持込禁止の方針。 カンタス/エミレーツ/BAなども原則不許可のケースあり。 一方、エアアジアなどはJAL・ANAに近い条件付き許可。 実際は各社で対応が分かれるため、搭乗前に公式サイトや窓口で確認が必須。 |
lufthansa.com |
フットレストのおすすめ代用品
機内でフットレストが使えない場合でも、工夫次第で足の疲れやむくみを和らげることができます。ここではフットレストの代わりに活躍する3つのアイテムを紹介します。
その1 リュックサック
手荷物の小型スーツケースやリュックサックを即席の足置きとして使う方法です。
足元に収納した荷物を少し手前に引き出し、その上に足を乗せれば簡易フットレストになります。荷物が柔らかければ中にブランケットや上着を詰めて高さや安定性を調整しましょう。
100円ショップのミニクッションや空気枕などでも代用可能で、足を軽く載せられる物なら何でもOKです。他人の通路を塞がない範囲で使い、必要に応じてサッと元に戻せる点でも安全です。
その2 コンパクト折りたたみスツール
アウトドア用のコンパクト折りたたみスツールを活用するアイデアです。耐荷重に優れた小型の折りたたみ椅子を持ち込めば、座席前の足元に広げてしっかり足を支える台になります。
客室乗務員の経験者からは「窓側席や中央席であれば折りたたみ椅子を足置き代わりに使っても、隣席の人が立つ時にすぐ畳めるのでそれほど厳しく注意されないケースも多い」との声もあります。
この方法なら高さも調整でき、使わない時は小さく畳んで座席下に収まるため邪魔になりにくいでしょう。ただし、利用は自己責任となるため、機内では常に周囲に配慮しつつ、安全確認のうえ使用してください。

その3 着圧ソックス
フットレストが無くても血行を促進して足の疲れを軽減するアイテムを活用する方法です。市販の着圧ソックスを履けば、座ったままでも脚の血流を助けてむくみ予防に効果があります。医療用ではなく旅行用のソフトな着圧ソックスなら長時間フライトでも快適に過ごせるでしょう。
併せて足裏マッサージボールを持ち込めば、足裏のツボを刺激してコリをほぐすことができます。ボールは足元で転がすだけでなく、肩甲骨や背中とシートの間に入れて体をほぐすのにも使える優れものです。さらに機内での軽いストレッチも効果的ですので、定期的に足首を回したり立ち上がって歩いたりして、エコノミークラス症候群の予防に努めましょう。
周囲への配慮を忘れないで!
飛行機内でのフットレスト使用は、安全確保と周囲への配慮という観点から各航空会社がルールを定めています。「禁止」の範囲は会社ごとに異なり、日本の大手では条件付き許可、海外には全面禁止の例もあります。利用前の確認と客室乗務員の指示遵守が鉄則です。
一方でフットレストが使えなくても、着席中の足の疲労対策はいくつか存在します。手荷物や簡易グッズを活用したり、着圧ソックスやストレッチで血行を促す工夫を取り入れてみましょう。周囲の乗客へのマナーを守りつつ、自分なりの快適グッズや方法で長距離フライトを乗り切ってください。
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