飛行機が乱気流で大きく揺れたり急降下する感覚を味わうと、「このまま落ちるのでは?」と不安に駆られる人は少なくありません。実際、機内の揺れは怖いものですが、旅客機は乱気流程度では墜落しないよう設計されており、安全性は極めて高い乗り物です。
本記事では、飛行機が乱気流で急降下しても落ちない理由や乱気流による事故の確率、機内の揺れが怖いときの対処法を専門家や公式データに基づいて解説します。
飛行機は乱気流で急降下しても落ちない?
飛行機は乱気流による急な揺れや一時的な降下で墜落することはありません。機体は想定される最大級の乱気流にも耐える頑丈な構造になっており、多少の激しい揺れでは壊れないよう設計されているためです。パイロットは最新の気象情報を活用して乱気流を極力回避し、万一遭遇しても安全に対処できる高度な訓練を受けています。
具体的には、晴天時に突然発生するエアポケットに巻き込まれても、飛行機が急に落下する高度は数メートルから数十メートル程度で、長い自由落下のように空から落っこちるわけではありません。一瞬、体がフワッと浮く無重力に近い感覚になりますが、ほとんどの場合数秒〜数分以内に揺れは収まり、機体そのものには問題が起きないのが通常です。
揺れによる飲み物のこぼれや乗客の悲鳴で不安になるかもしれませんが、基本的に乱気流は飛行の安全性を脅かすものではなく、不快なだけだとパイロット達も述べています。大切なのはシートベルトを着用し、荷物や自分の体が浮いてぶつからないようにすることで、安全自体は確保されています。
飛行機は乱気流で事故起きる確率
乱気流が原因で飛行機事故(墜落など)が起きる確率は、現代の旅客機ではほぼゼロに近い極めて低い水準です。実際、航空機の安全性は年々向上しており、飛行機に乗って死亡事故に遭遇する確率は約790万分の1という分析結果もあります。

乱気流そのものが直接の墜落原因となる事例は近年ほとんど報告されていません。米国の研究者によれば、乗客が命の危険を感じるような激しい乱気流に遭遇する確率はおよそ100万分の1と試算されています。パイロットは乱気流が予測される空域を迂回したり高度を変えて避けており、実際にはそれ以上に遭遇率を下げる努力がなされています。
仮に乱気流が非常に強く揺れが大きい場合でも、機体が損傷して飛行不能に陥るケースは極めて稀です。専門家の報告では、過去には乱気流でエンジンが脱落するような深刻な事例も数例ありましたが、いずれの場合も飛行機は無事に着陸できています。
現代の旅客機では乱気流のみで大破・墜落することは想定しにくく、多くの場合は別の要因が重ならない限り大事故には至りません。統計的にも乱気流に伴う事故の大半は機内で乗員乗客がケガをする程度で、重大事故に発展することはありません。
実際、米連邦航空局(FAA)の調査では乱気流で負傷する人の多くはシートベルト非着用の乗員乗客であり、ベルト着用さえしていれば負傷は滅多に起きないと報告されています。このように、乱気流による墜落事故が発生する確率はほぼゼロと言ってよいでしょう。


乱気流で降下するのが怖い時の対処法
乱気流による機体の揺れや急な降下感に恐怖を感じる場合でも、適切な対処法を知っていれば不安を和らげることができます。これから3つの対処法を説明します。
方法1:飛行機の安全性を知って不安を和らげる
まず大切なのは、飛行機が極めて安全な乗り物である事実を理解しておくことです。知識で裏付けされた安心感は、乱気流への恐怖を和らげる大きな助けになります。たとえば、「飛行機事故に遭う確率は宝くじの一等に当たるより低い」「日本では1985年以降、墜落事故による乗客死亡者が出ていない」などの統計データを知れば、過度な心配が和らぐでしょう。
乱気流そのものも珍しい異常現象ではなく、天候によっては起こり得る日常的な揺れだと理解することが重要です。車ででこぼこ道を走ると揺れるのと同じで、飛行中に多少の振動があるのは普通のことと捉えてください。
実際、シートベルトさえしっかり締めていれば乱気流でケガをすることも滅多にありません。このように飛行機の安全性に関する正しい知識を持っておくと、「揺れても墜ちない」と自分に言い聞かせる材料となり、恐怖心を抑えることができます。
方法2:揺れにくい座席や時間帯を選ぶ
次に、物理的に揺れを感じにくい環境を選ぶ工夫も効果的です。専門家によれば、できれば大気が安定している早朝や日没後のフライトを選ぶと乱気流に遭遇しにくいとされています。日中は太陽熱で地表付近の空気が動き乱気流が発生しやすいため、朝一番や夜間の便のほうが穏やかなことが多いのです。
また、座席位置は主翼の上付近が揺れを最も感じにくいポイントです。一般に機体の中央付近が重心に近く上下動が小さいためで、逆に機首や機尾に近い席ほど上下の振動が大きくなりがちです。少しでも不安を減らすため、座席指定が可能な場合は翼の近くの列を選んでみましょう。
さらに、常にシートベルトを着用しておくことも重要です。予期せぬ乱気流でも体が固定されていれば安心感がありますし、万一の負傷リスクも格段に減らせます。揺れ自体を完全になくすことはできませんが、こうした工夫で体感する揺れを最小限に抑えることができます。
方法3:機内で不安を感じたら気を紛らわせる
乱気流による揺れが起きて怖いと感じたときは、意識を別のことに向けて不安を紛らわせるのが有効です。実際、機内では映画を見たり音楽を聴いたり読書をするなど、好きなことに集中して過ごすと恐怖心が和らぐとされています。
マイナスな想像ばかりしてしまうと不安が増す一方なので、意図的に気を逸らす工夫をしましょう。また、ゆっくり深呼吸をしたり簡単な瞑想を行うのも緊張を和らげる効果があります。
日頃から呼吸法などのリラクゼーションを身につけておくと、機内でドキドキしても自分で気持ちを落ち着かせやすくなります。それでも怖さが収まらない場合は、遠慮せず客室乗務員に声をかけてみてください。「揺れで怖い」と伝えれば、状況を説明してくれたり、必要に応じて席を替える提案をしてくれることもあります。
どうしても恐怖が強い場合は、事前に医師に相談して酔い止めや軽い精神安定剤を処方してもらうのも一つの方法です。これらの対処法を実践すれば、乱気流への不安を感じてもパニックに陥ることなく過ごせるでしょう。
事故が起きる可能性はほとんどない
飛行機が乱気流で急降下しても落ちない理由や、乱気流による事故の確率、そして恐怖心への対処法について解説しました。
乱気流そのものは決して特別な異常ではなく、現代の旅客機は多少の揺れでは落ちない安全設計になっています。統計データからも飛行機事故に遭遇する可能性が極めて低いことが示されており、正しい知識を持つことで不安を和らげることができます。
機内で揺れが怖いときは、今回紹介した方法をぜひ試してみてください。プロの乗員たちと頑丈な機体を信頼し、必要以上に恐れずに空の旅を楽しんでいただければと思います。
参考文献
- 格安航空券センター「飛行機の『エアポケット』とは?その意味やなぜ起きるのかを解説」(2025年08月13日)https://www.airticket-center.com/blog/airplane/airpocket-explanation/ (2025-09-07閲覧)
- Gizmodo Japan「乱気流に遭ったとき、被害を最小限に防ぐには?」(2015年07月11日)https://www.gizmodo.jp/2015/07/post_17603.html (2025-09-07閲覧)
- Forbes JAPAN「航空機事故で死亡する確率は『毎年約7%下がり10年ごとに半分に』米MIT検証」(2023年08月11日)https://forbesjapan.com/articles/detail/76123 (2025-09-07閲覧)
- ライフハッカー[日本版]「飛行機が怖い人へ。不安が消える『6つの事実』」(2019年06月06日)https://www.lifehacker.jp/article/161125_fearofflying/ (2025-09-07閲覧)
- TRAVELIST「飛行機に乗るのが怖い。そんな人におすすめの不安解消対策」(2023年05月10日)https://travelist.jp/column/cat_01/scary-of-the-plane-im05.html (2025-09-07閲覧)
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