新幹線のB席は、多くの乗客が避けたがる席として知られています。しかし実は意外なメリットもあり、うまく活用すれば快適な旅を楽しめる可能性もあります。本記事では、B席がなぜうざいと感じられるのか、その理由と隠れたメリット、そして隣に人が座ってほしくない時の対処法について詳しく解説します。
新幹線のB席はどこ?

新幹線の普通車両には、通常「3列-2列」の座席配置が採用されています。窓側から順にA・B・Cの3列シートと、通路を挟んでD・Eの2列シートが並んでいます。このうち、B席は3列シートの真ん中に位置する席です。A席(窓側)とC席(通路側)に挟まれた位置にあり、多くの乗客から「避けたい席」としてみなされることが多いのが実情です。
JR東日本やJR西日本などが運行する新幹線では、この座席配置が一般的であり、3人掛け+2人掛けの横5列が並ぶ形式になっています。ただし、山陽・九州新幹線だけを走る一部の列車の普通車指定席では、座席配置が2人掛け+2人掛けの横4列になっているケースもあります。
新幹線のB席がうざいのはなぜ?
B席が避けられる理由はいくつかあります。ここでは、多くの乗客がB席を「うざい」と感じる主な3つの理由について説明します。
理由1:物理的に狭いから圧迫感がある
B席は、その位置柄、物理的な圧迫感を感じやすい席です。窓側のA席と通路側のC席に挟まれているため、両隣に人が座ると左右からの圧迫感を強く感じます。JR東日本の新幹線車両情報によると、新幹線普通車の標準的な座席幅は440mmとされています。特に混雑時には、この限られたスペースの中で、両隣の乗客との距離感に神経を使うことになります。
新幹線の座席間隔である「シートピッチ」は、車両によって異なります。東海道・山陽・九州・西九州新幹線の多くと、東北・北海道・上越・北陸新幹線のE5系、H5系、E7系、W7系では、普通車のシートピッチは1040ミリです1。一方、東北新幹線のE2系や山形新幹線の「つばさ」などで使われるE3系およびE8系、秋田新幹線「こまち」などで使われるE6系では、シートピッチは980ミリとやや狭くなっています。
このような物理的な環境の中で、B席は窓も遠く、通路にもすぐには出られないという制約があります。特に長時間の乗車では、こうした制約が精神的なストレスにつながることも少なくありません。窓から景色を楽しみたい、あるいはトイレなどのために通路にすぐ出て移動したいという場合に、B席ではそれが難しくなるのです。
理由2:肘掛けの譲り合いがめんどくさい
新幹線のB席に座る際、多くの乗客が頭を悩ませるのが肘掛けの使い方です。B席に座ると、左右にある肘掛けをA席とC席の乗客とそれぞれ共有することになります。JR西日本の広報担当者によれば、「特にどちらの座席のものなどということはありませんので、ゆずりあって使っていただけたらと思います」とのことです。
車両の設計部門に確認しても、「特段、どの座席が左右どちらを使うべき、という思想はない」という回答でした。つまり、明確なルールはなく、隣席の乗客との暗黙の譲り合いが必要になります。この微妙な駆け引きが、多くの乗客にとって精神的な負担となっているのです。
肘掛けの幅は約50ミリと、2人の腕を置くには十分とは言えないサイズです。そのため、長時間の乗車では、腕の置き場に気を使い続けることになります。これは、新幹線の乗車中にリラックスしたいと考える多くの乗客にとって、ストレスの原因となり得ます。
理由3:両隣に人がいるから疲れる
B席の最大の特徴は、両隣に人が座る可能性が高いという点です。窓側のA席や通路側のC席、D席、E席と比べて、B席は左右両方に乗客がいる状況になりやすいのです。
長時間の移動では、他者との距離感を保つことがストレス軽減に重要ですが、B席ではそれが難しくなります。特に見知らぬ人との長時間の密接した空間共有は、精神的な疲労を引き起こすことがあります。また、スマートフォンの操作など、プライバシーを確保したい行動も制限されがちです。
日本の電車内でのマナーに関する記事によれば、「スマホはマナーモードに設定し、通話を控える」「大きな音を立てない」「スペースを取りすぎずに座る」などのルールが紹介されています7。新幹線においても同様のマナーが期待される中、B席では両隣の乗客に気を使いながらこれらのルールを守る必要があります。
特に長距離の移動では、体の疲労だけでなく、こうした心理的な疲労も蓄積していきます。新幹線という限られた空間での長時間の移動においては、こうした心理的な快適さも旅の質を左右する重要な要素と言えるでしょう。
B席のメリット
一見デメリットが多いように思えるB席ですが、実は意外なメリットもあります。ここでは、B席の隠れた3つの利点を紹介します。
メリット1:座席が若干広い
B席の最大のメリットは、実は他の座席よりも若干広く設計されていることです。多くの乗客が知らないこの事実は、新幹線を頻繁に利用する鉄道愛好家の間では有名な「裏知識」となっています。
具体的には、B席は他の席と比較して2-3cm程度広いとされています。これは、B席の左右の余裕を見るとよくわかります。特にテーブルと座席の関係を観察すると、テーブルの大きさは全席共通ですが、B席ではテーブルに対して座席幅に余裕があることが確認できます。
JR西日本の広報担当者も「真ん中にはさまれる場所なので、広めになっています。数字だけ見るとほかの座席との差は小さいように思われるかも知れませんが、座ってみると意外にゆとりを感じていただけます」と述べています。具体的には、3人並びの座席で中央の座席の幅は、20~30ミリほど大きくなって460ミリになっているとのことです。
この微妙な差は、長時間の乗車では意外に大きな快適さにつながります。特に体格の大きい方にとっては、このわずかな余裕が重要な意味を持つことがあります。
メリット2:混雑時でも比較的選びやすい
B席は人気がないがゆえに、混雑時でも最後まで残りやすい席です。指定席予約の際、希望の列車が混雑していて座席の選択肢が限られている場合でも、B席であれば予約できる可能性が高いというメリットがあります。
新幹線の座席はE席が真っ先に埋まります。次にA席が埋まります。そのあとC席とD席が埋まり、最後にB席という傾向があります。特に繁忙期やゴールデンウィーク、年末年始などの混雑時期には、この特性が大きな利点となります。「座れさえすれば良い」という状況では、B席の存在が救いになることも少なくありません。
また、B席が最後まで残る傾向があることを知っていれば、直前の予約でも席を確保できる可能性が高まります。ビジネスでの急な出張や予定変更があった場合など、フレキシブルに対応できるという利点もあります。
メリット3:戦略的に活用すれば快適な旅が可能
B席の特性を理解し、戦略的に活用することで、より快適な新幹線の旅を実現できることがあります。例えば、新幹線で隣に人が来ない確率を上げる手法として、B席の特性を利用した座席選びが可能です。
- Cだけが埋まっている3列席のAを取る
- Aだけが埋まっている3列席のCを取る
これは「B席にだけは座りたくない」という多くの乗客の心理を利用した方法です。満席近くにならない限り、隣に人が来る可能性は低くなります。ただし、誰も座っていない3列席のAやCを選んでしまうと、2人グループの乗客が隣に座る可能性があるため注意が必要です。
「B席だけが残っているけど、知らない人の間にだけは座りたくない」という心理を働かせることがこの戦略のポイントです。これにより、中途半端に混雑している列車でも、隣に人が来ない確率を高めることができます。
まとめ:譲り合いの精神が大切
新幹線のB席は、物理的な制約や肘掛けの譲り合いの問題、両隣に人が座る可能性が高いといったデメリットがある一方で、座席が若干広い、混雑時でも選びやすい、戦略的に活用できるといったメリットも持ち合わせています。
最終的に重要なのは、限られた空間を共有する公共交通機関において、互いに譲り合いの精神を持つことではないでしょうか。JR西日本の広報担当者が肘掛けについて「ゆずりあって使っていただけたらと思います」と述べているように、相手への思いやりが快適な旅の鍵となります。
日本の電車内でのマナーとエチケットに関する記事では、「優先席では積極的に席を譲る」「スペースを取りすぎずに座る」「大きな荷物は周りの人にぶつからないように持つ」などのポイントが挙げられています。これらは新幹線内でも同様に重要なマナーであり、特にB席に座る場合や、隣にB席の乗客がいる場合には、より一層の配慮が必要です。
B席が「うざい」と感じられる理由の多くは、実は物理的な環境よりも、その環境下での人間関係や心理的な側面に起因するものかもしれません。自分自身がB席に座ることになった場合は、その特性を理解し上手に活用する。また、隣に座る人へ配慮することで、互いに快適な旅を実現できることでしょう。
赤ちゃん連れでの新幹線利用に関する記事では、「赤ちゃんと乗るときは、確実に座れるよう指定席を予約しておきましょう。ベビーカーを持ち込むなら、最後部の座席を予約して後ろのスペースに置いておくとラクに過ごせます」とアドバイスしています。このように、それぞれの状況に応じた座席選びと、周囲への配慮が大切です。
次回の新幹線旅行では、ぜひこの記事で紹介したB席の特性や対処法を参考に、より快適な移動を実現してください。そして、B席に座ることになっても、その隠れたメリットを活かして、快適な旅を楽しんでください。
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