旅行や出張で新幹線を利用する際、「えきねっと」の事前受付サービスを使って指定席を確保しようとしても、「なかなか取れない」「どうすれば成功率を上げられるのか」と悩んだことはありませんか?
事前受付はJR東日本が提供する便利なオンライン予約機能ですが、必ず席が取れるわけではなく、抽選の仕組みやタイミングによっては希望が叶わないこともあります。だからこそ、「どのくらいの確率で取れるのか」「どうすれば確率を上げられるのか」を正しく理解しておくことが大切です。
本記事では、まず「えきねっとの事前受付とは何か」を整理したうえで、実際に指定席を確保できる成功確率の実情、そして確率を高めるための具体的なポイントを3つ紹介します。旅行や出張の計画をより確実にするために、ぜひ参考にしてください。
えきねっとの事前受付とは?
えきねっとの事前受付とは、新幹線や特急列車の指定席を、発売開始日当日に駅窓口に並ばず事前に申し込めるJR東日本のサービスです。通常、指定席の販売開始は乗車日の1ヶ月前の午前10時ですが、この事前受付ではさらにその1週間前の14時から乗車日1ヶ月前の9時54分まで申し込みが可能になります。
つまり、発売開始と同時に自動で予約処理される「予約申し込みの予約」のような仕組みです。これによって発売開始日に慌てて窓口やオンラインにアクセスしなくてもよく、多くの人が利用しています。
しかし、重要なのは、「事前受付」は席を必ず保証するものではないという点です。事前受付で申し込んでも、希望の列車・席に空席がなければ予約は成立せず、不成立の結果になる場合があります。
実際、えきねっと公式のQ&Aでも「事前受付は座席の確保を必ずお約束するものではございません。満席等の理由により座席をご用意できない場合もあります」と明言されています。したがって、事前受付は便利な反面、「応募者多数の場合は抽選のような形になる」サービスであり、確実に指定席を取れるわけではない点に注意が必要です。
えきねっとの事前受付が成功する確率
では、この事前受付で予約が取れる確率はどの程度なのでしょうか?
残念ながら、信頼できる確率に関する情報はありません。えきねっとの事前受付は先着順ではなく、ランダムに処理される仕組みであり、列車ごとの座席数と申し込み人数のバランスによって当選確率が大きく変動するからです。
公式には抽選方式とは謳われていませんが、実際には発売開始時刻に多数の申込みを一括処理するため、抽選に近い競争になると考えてよいでしょう。早く申し込んだから有利になるものでもなく、受付期間内であればいつ申し込んでも当選率は同じです。実際、後から事前受付した人が先に申し込んだ人よりも予約に成功した例もあり、タイミングは関係ないとされています。
また、事前受付の成功率は時期や路線によって大きく左右されます。年末年始・お盆・ゴールデンウィークなどの繁忙期や、通勤時間帯・連休初日など乗客が集中するタイミングでは、申し込みが殺到して競争率が非常に高くなります。
JR東日本も「GW・お盆・年末年始など特に多くのお客さまより申込みをいただく時期には、結果通知メールの送信が発売日当日の正午以降になる場合がある」と案内しています。すなわち、そのような繁忙期は膨大な申込みがあることを示しています。
座席数には限りがあるため、例えば繁忙期の人気列車では競争倍率が非常に高く、運次第の状況になることも珍しくありません。「当たる確率って少ないの?」というユーザーの問いに対し、鉄道の達人からも「需要の高い時間帯や割引きっぷは申し込み数が多く、その分競争率が高くなります。秘訣は特になく、運を天に任せるぐらい」という趣旨の回答が寄せられています。つまり、申込者が多いほど一人当たりの当選確率は下がるのが実情です。
事前受付の確率を高くするためのポイント
事前受付の成功可否は運に左右される部分もありますが、これから紹介する3つのポイントを押さえることで、席を確保できる可能性を高めることができます。できる範囲で工夫を凝らし、当選確率の向上に役立ててください。
その1: 繁忙期や人気の時間帯を避けて申し込む
事前受付の最大の敵は競争率です。したがって、競合が増えやすい繁忙期・人気時間帯を避けることが成功率アップの基本となります。具体的には、長期休暇シーズンであっても比較的人出が少なそうな日を選ぶ、混雑が予想される場合は日程を1日ずらしてみるといった戦略が有効です。
例えば、お盆休みのUターンラッシュのピークを避けて前倒し・後ろ倒しの日程にするだけでも、同じ区間・列車の競争率は大きく下がります。また、どうしても混雑日の移動が外せない場合は、早朝や夜遅めの列車を狙うのも一つの手です。
一般的に利用者が少ない時間帯の列車は申込みも少なくなる傾向があり、席が確保できる可能性が高まります。以上のように申込む日時や列車を工夫し、競争相手そのものを減らすことが、事前受付当選への近道です。
その2: 複数の希望列車・条件で事前受付を活用する
どうしても混雑が避けられない場合や、1本に絞らず複数の候補がある場合は、事前受付の申し込み枠を最大限活用してチャンスを広げましょう。
えきねっとの事前受付では同一乗車日につき最大10件まで申し込み可能であり、さらに1件の申込につき第3希望まで列車を選択できます。この仕組みを使えば、例えば「第1希望: 8時発の列車、第2希望: 8時半発、第3希望: 9時発」という形で時間帯の異なる列車をまとめて応募したり、あるいは別々の申込枠を使って複数の列車にエントリーしたりすることができます。
希望列車を一つに絞らず複数用意しておくことで、たとえ最有力の列車が外れても他の列車で当選する可能性が高まります。実際、「同一乗車日に対して最大10件まで申し込みができる」「申し込み条件(座席位置や割引率等)を変えて複数申し込んでみるのもありかもしれません」と公式も案内しています。どうしてもこの日は移動が必要という場合、時間帯違いの列車を複数エントリーしておくのは有効な戦略です。
ただし、複数申し込みをする際の注意点もあります。もし運良く複数の予約が同日に成立してしまった場合、不要分の予約を後からキャンセルすると所定の払い戻し手数料がかかります。とくに事前受付の結果が出る前に発売日10時の通常予約にも挑戦して二重に席を確保してしまったようなケースでは、どちらかを必ず取り消す必要があり、その際に手数料負担となりま。
その3: 席の条件や割引切符に柔軟になる
事前受付の成功率を上げるには、予約条件の設定を柔軟にすることも重要です。条件を絞り込みすぎると、その条件下で空いている席がない場合に落選となってしまうためです。
例えば、「絶対に窓側席」「○号車がいい」といった強いこだわりを事前受付時に設定すると、仮に通路側なら空いていた場合でも予約が成立しない可能性があります。公式ガイドでも「列車内に空席がある場合でも、申込条件により座席が手配できないこともある」と注意されています。
席種に強い希望がある場合は事前受付ではなく発売後の通常予約を利用すべきケースもありますが、席を確保すること自体が最優先であれば、事前受付では席の希望条件をできるだけ緩く設定する方が成功しやすいでしょう。
また、割引率にもこだわりすぎないことがポイントです。JR東日本の「お先にトクだ値」など大幅割引の切符は非常に魅力的ですが、その分競争も激しく発売と同時に即完売となるケースが多い商品です。
実際、乗車日の13日前から予約可能な最大35%オフの「お先にトクだ値」は事前受付の対象ではあるものの、人気が高すぎて筆者も何度か取得できなかったと報告されています。このように割引率の高い席は枠自体が少なく申込者も集中するため、事前受付で狙うにはハードルが上がります。
そこで、確実に席を確保したい場合は通常価格の指定席や割引率の低いきっぷも視野に入れることをおすすめします。例えば、第一希望では割引きっぷ枠、第二希望では通常きっぷ枠で同じ列車を申し込む、といった形です。実際に「普通車指定席30%引きはほとんど当たらないが、グリーン車30%引きなら取れた」などの声もあり、価格や席種を妥協することが功を奏する場合もあるようです。
確率論は当てにならない
「えきねっと」の事前受付サービスは、自宅にいながら人気の新幹線指定席を狙える便利な仕組みですが、ライバルが多い日時では席を確保できるかは運次第とも言える状況です。
ただ、いくつかの視点を考慮することで、事前受付がうまくいくケースもあります。
確率論は当てにならないのが現実ではありますが、条件を緩やかに指定するなどして、競争率の低いメニューへの申し込みを検討してみてください。
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