えきねっとアプリが「ひどい」「使えない」と言われる理由と便利な特徴

えきねっとアプリが「ひどい」「使えない」と言われる理由と便利な特徴

JR東日本が提供する切符予約サービス「えきねっとアプリ」は、鉄道のデジタルチケット購入を便利にするはずのツールです。しかしながら、インターネット上では「使いにくい」「ひどい」といった評判が後を絶ちません。

本記事では、えきねっとアプリが「ひどい」と言われる主な理由を解説し、その一方で知っておきたい便利な特徴も紹介します。「批判の背景には何があるのか、そして上手に活用するポイントはどこかを詳しく見ていきましょう。

目次

えきねっとアプリの概要

えきねっとアプリの概要

えきねっとはJR東日本が2000年に開始したインターネット予約サービスで、四半世紀近い歴史を持ちます。パソコンやスマートフォンから新幹線や特急券の指定席予約ができる仕組みで、2021年には大規模リニューアルも実施されました。

現在では、スマホ向けの「えきねっとアプリ」も提供されており、JR東日本やJR北海道エリアの新幹線・在来線特急の予約が可能です。紙のきっぷを駅で受け取る従来型の予約に加え、交通系ICカードやQRコードを使ったチケットレス乗車にも対応しており、デジタル時代の切符購入プラットフォームとして機能拡充が進められています。

えきねっとアプリが「ひどい」「使えない」と言われる理由

Twitterやブログ等ではえきねっとアプリへの不満が数多く語られています。

ここでは、代表的な4つの理由を挙げてその背景を説明します

理由1:UIが複雑で利用者目線に欠けている

えきねっとアプリは画面構成や操作手順が複雑で、鉄道に詳しくない一般利用者にはわかりにくいと指摘されています

実際、鉄道ジャーナリストの枝久保達也氏は「サービス開始から現在に至るまで『使いにくい』『わかりにくい』と言われ続けている」と述べ、その根本原因について「駅員が操作するマルス(指定券発券システム)の思考で組み立てられており、乗客側のニーズと一致していないからだ」と分析しています。

つまり、切符の買い方の知識がないと直感的に操作しづらい設計になっているのです。

具体的には、利用者自身が列車や切符の細かな条件を理解して入力しないと希望する予約にたどり着きにくい場面があります。駅の窓口であれば客のあいまいな要望を駅員が整理して発券してくれますが、ネット予約では利用者が自分で条件を考えて操作する必要があります。

理由2:機能が多すぎて操作が煩雑になりがち

えきねっとは新幹線から在来線特急、紙のきっぷ受取からチケットレス乗車まで一つのサービスで非常に多くの機能を抱えています。その多機能ぶりゆえに画面上の選択肢や手順も増え、操作が煩雑になってしまう傾向があります

実際、IT専門媒体の分析でも「ひとつのサービスに課せられた役割が多すぎること」が「えきねっと」が使いにくい要因になっていると指摘されています。

えきねっとでは紙の特急券予約も、新幹線のチケットレス予約も、在来線特急のチケットレス予約もできるため、シンプルに新幹線専用の機能だけを提供する他社の「EXサービス」などと比べてどうしても画面構成が複雑になりがちなのです。

さらに、検索結果の表示も複雑さに拍車をかけています。利用者の意図しない経路や切符が提示されて戸惑うケースも少なくありません。例えば、とある記者の検証では「大宮駅から長野県岡谷駅に正午までに到着」という検索条件に対し、えきねっとは遠回りで料金の高い新幹線+特急乗り継ぎルートや、乗換回数が多い経路を優先的に表示しました。

本来であれば、首都圏から諏訪地方へは新宿発の特急「あずさ」が定番ですが、えきねっと上では何も設定しないと最適ではないルートが出てきてしまい、利用者は自分で経由駅(新宿)を指定し直さなければ目的のきっぷに辿り着けない状況でした。

理由3:オンライン完結しない不便さ(クレカ必携など)

えきねっとは長らく「結局駅で発券が必要」な場面が多く、真の意味でオンライン完結していないとも批判されてきました

2021年のリニューアル以降、QRコードを使った指定席券売機での受取や交通系ICカード連携によるチケットレス乗車が可能になり利便性が向上しましたが、一部では利便性が後退する変更も行われています。2023年5月、東海道・山陽新幹線などJR東海エリアを含む予約の受取方法が変更され、その列車を含む予約では受取時に決済に使ったクレジットカードの提示が必須となりました。

この変更により、「クレカを忘れたら乗車当日にきっぷを買い直す必要がある」事態となり、SNS上では「退化している…」「利便性が後退しているのでは?」と改悪を嘆く声も少なくありません。

また、スマホアプリ単体では利用できない機能がある点も不便さを感じさせる一因です。例えばJR東日本が発売するお得な割引乗車券はえきねっとで購入できますが、アプリ上には表示されずQRコードが出せないため、結局スマホのブラウザでえきねっとにログインし直して表示する必要があるといった指摘もあります。このように「完全にはオンラインで完結しきれない」「アプリだけでは手続きが完了しない」不便さが、ユーザーから「ひどい」と言われる理由になっています。

理由4:リニューアル後も根本改善されず不満が続いている

JR東日本はえきねっとを何度も改善し機能拡充を図ってきましたが、大規模リニューアル後も根本的な使いにくさは残ったとの評価があります。実際、2021年の刷新を経た現行システムについても「基本的なところは変わっていない」と指摘され、前述したようなユーザー目線の不足から来る使いづらさが依然として残存しています。

その結果、デジタル化推進のために進められた駅の「みどりの窓口」削減にも支障が出ました。えきねっとの使いにくさゆえに駅窓口に長蛇の列ができ、2024年夏には一部の駅でみどりの窓口を復活・増設する事態に至ったのです。

JR東日本が「5割の人がえきねっとを使わない」理由を誤解していたとも報じられており、ネットでは「窓口に行かないと解決できないことが多すぎる」との声も上がりました。このように、改善を重ねてもなお残る使い勝手の悪さが利用者の強い不満につながっており、「ひどい」と評される根底には根強い課題があるといえます。

えきねっとアプリの便利な特徴

しかしながら、えきねっとアプリには便利に活用できる長所も多くあります。ここからは、知っておきたい3つの便利な特徴を紹介します。上手に使えば旅行や出張の強い味方になり得るポイントです。

特徴1:チケットレス乗車で駅での受取不要

えきねっとアプリを使えば、紙のきっぷを受け取らずにそのまま乗車できるチケットレスサービスを利用できます

新幹線eチケットサービスでは、予約内容をSuicaなどの交通系ICカードにひも付けることで、東北・北海道・上越・北陸などJR東日本・北海道エリアの新幹線にICカードをタッチして直接乗車可能です。在来線特急でも同様に、予約情報をスマホ画面に表示したりICカードと連携したりすることで乗車できます。

これにより駅の券売機や窓口に並ぶ手間が省け、スムーズに改札を通過できるのが大きな利点です。実際、2020年3月に新幹線eチケットサービスが登場して以降、えきねっと一つで紙の特急券予約から新幹線・在来線のチケットレス乗車まで幅広く対応できるようになりまし。

デジタルチケットに不慣れな方でも、モバイルSuicaやICカードに紐付けさえしておけば改札機にタッチするだけで乗れる手軽さは、えきねっとアプリの大きなメリットと言えるでしょう。

特徴2:予約の変更・払戻が発車直前まで可能

えきねっとでは予約後の変更やキャンセルが柔軟に行える点も便利な特徴です。紙のきっぷでも受取前であればウェブ上で変更・払戻ができますが、チケットレスサービスの場合はさらに融通が利きます。たとえば在来線特急のチケットレス座席指定券なら、乗車当日の列車出発時刻まで変更や払戻が可能です。

新幹線eチケットについても出発4分前まで変更受付ができる仕組みになっており、直前に予定が変わっても対応しやすくなっています。これは「発車間際まで何度でも予約内容を変更できる」ことを意味し、従来の窓口購入では難しかった柔軟な旅程変更が可能です。

急な予定変更や乗り遅れのリスクにも備えられるため、ビジネス出張など日時変更が起こり得る場合でも安心して予約ができます。

特徴3:「トクだ値」など独自割引やポイント連携がお得

えきねっと限定の割引切符やポイントサービスを活用できるのも見逃せない利点です。代表的なのが「えきねっとトクだ値」で、これは列車・席数・区間限定ではありますがインターネット予約限定で運賃料金を大幅に割引くお得なきっぷです。

東北・上越新幹線やJR東日本管内の在来線特急に設定されており、例えば期間限定で北海道の特急に50%割引が設定されるなど、大きな値引きが受けられるケースもあります。

これらの割引商品は駅窓口では扱っておらず、えきねっと会員だけが購入できる特典となっています。さらに、えきねっとを利用してJRのきっぷを購入すると利用額に応じてJRE POINTが貯まり、貯めたポイントを鉄道の乗車券類に交換することも可能です。

例えば、JRE POINTを使った新幹線eチケットの特典交換サービスも用意されており、えきねっとを使うことで運賃面でもポイント面でもお得なメリットが享受できます。

えきねっとアプリを使うときの注意点

便利なえきねっとアプリですが、利用にあたって気を付けたい点もあります。最後に、えきねっとアプリを使う上で注意すべき3つのポイントを解説します。事前に理解しておくことでトラブルを防ぎ、スムーズに活用できるでしょう。

注意1:東海道・山陽新幹線を含む予約はクレジットカードを忘れずに

えきねっとで予約したきっぷを駅で受け取る際、予約行程に東海道・山陽新幹線などJR東海・JR西日本エリアの新幹線が含まれる場合は注意が必要です。

先述の通り、2023年5月以降このような場合の受取には決済に使用したクレジットカードの提示が必須となりました。したがって、乗車当日はそのクレジットカードを忘れず持参しなければなりません。

万一、カードを忘れると原則として駅で新たにきっぷを買い直す必要があり、大きな時間ロス・出費につながってしまいます。特に、出張などで法人カード決済した場合や家族分を代表者のカードで買った場合など、現地でカード所持者が別行動になるケースでは十分にお気を付けください。

注意2:毎晩深夜はシステムメンテナンスで利用不可

えきねっとは24時間いつでも使えるわけではない点にも注意が必要です。JRのシステムは深夜帯にメンテナンス時間が設けられており、えきねっとも概ね毎日23時50分~翌5時頃まではサービスを停止します。

この時間帯は予約の申込・変更・払戻など一切の操作ができません。仕事や家事が一段落した深夜に「明日の特急券を予約しよう」と思ってもメンテナンス中で操作できず、結局翌朝まで待たざるを得ない…といった経験をしたユーザーも少なくありません。

日付をまたぐ直前は要注意で、23:50になると自動的にシステムが停止してしまいます。計画は余裕をもって立て、深夜の駆け込み予約は避けるようにしましょう。どうしても深夜に手続きをしたい場合は、一旦仮予約の事前受付を活用しておき翌朝本予約するなど工夫すると良いでしょう。

注意3:アプリだけで完結しない手続きもある

スマートフォン向けのえきねっとアプリは手軽ですが、実は提供機能が限定されていることにも注意しましょう。えきねっと公式によれば、ウェブ版ではえきねっとの全機能が使える一方、スマホアプリは新幹線eチケットやチケットレス特急券の予約に特化した設計になっています。

そのため、たとえば前述した「おトクなきっぷ」のような企画乗車券の購入・表示はアプリ上では対応しておらず、購入後に受取用QRコードを表示するにはブラウザでえきねっとにログインし直す必要があります。また、予約一覧の表示件数や詳細確認もアプリでは制限があり、複数の予約を管理する際に少々不便との指摘もあります。

要するに、「基本的な指定席予約以外の細かな機能はウェブ版で行う」と割り切った方がスムーズです。アプリで見られない情報や操作は無理に探さず、JR東日本のえきねっと公式サイトやサポートページを確認するよう心がけましょう。

まとめ:リニューアルに期待

えきねっとアプリが「ひどい」と言われる理由として、UIのわかりにくさや操作の煩雑さ、オンライン完結しない不便さなどを見てきました。一方で、チケットレス乗車の利便性や豊富な割引サービスなど有用な特徴もあります。

現状では課題が目立つものの、JR東日本もサービス改善に向けた取り組みを続けています。実際、2025年秋には「乗車3ヶ月前から予約可能な早期予約サービス」や「WEB上での変更・払戻機能強化」など、えきねっとの機能拡充を行う計画が発表されています。

こうしたアップデートによってより利用しやすいチケッティングサービスの実現を目指すとされており、利用者としても今後の改善に期待したいところです。

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