鉄道の予約サイト「えきねっと」は便利な反面、深夜にアクセスすると「メンテナンス中」の表示をよく目にします。利用者からは「えきねっとはメンテナンスが多すぎるのでは?」という声も聞かれます。
実際のところ、毎晩のようにシステム停止時間があり、計画的な臨時メンテナンスも頻繁です。
本記事では、えきねっとのメンテナンス頻度の実情とその背景について解説します。また、過去に行われた大きなアップデートの内容や、メンテナンス時間帯の詳細、利用者が注意すべきポイントについても詳しく紹介します。
えきねっとはメンテナンスが多すぎ?
毎日深夜に定期メンテナンスが行われ、利用できない時間帯が存在するため「多すぎる」と感じられます。えきねっとでは、毎晩23時50分~0時10分および1時50分~5時00分に定例システムメンテナンスが実施されます。この時間帯はサイトでの新規予約・変更・払戻・取消・受取といったすべての操作ができません。つまり毎日約3時間半以上、システムが停止する時間が設けられているのです。
それでは、なぜこれほど頻繁にメンテナンスが必要なのでしょうか?
結論から言えば、大規模なオンライン予約システムでは、データの整合性確保や他システムとの連携のため定期的なリフレッシュ作業が不可欠とされています。航空券予約など他の交通予約システムでも24時間フル稼働ではなく、深夜にサービスを停止している例があります。えきねっとの場合、JR各社の座席予約システムとの連動や日付変更に伴う処理もあり、システムとサポート要員を夜間に休ませる目的も含め、毎晩のメンテナンス時間を確保していると考えられます。
さらに、「臨時システムメンテナンス」と称して追加の停止期間が設けられることもあります。たとえば2025年8月下旬~9月上旬には、通常の深夜停止に加えて複数日の深夜~早朝(23:50~翌5:00)の臨時メンテナンスが予定されています。
このように、ほぼ毎日深夜にシステムが止まり、加えて臨時停止もあるため、利用者から「メンテナンスが多すぎる」と感じられているのです。
えきねっとで実施された過去のアップデート
えきねっとはサービス開始以来、利便性向上のために何度も機能追加・改良を重ねてきました。ここでは、えきねっとで過去に行われた主なアップデートを3つ紹介します。
その1: 2019年 在来線特急のチケットレス乗車に対応する公式アプリ公開
まず注目すべきは2019年11月30日にリリースされた「えきねっとアプリ」です。JR東日本は2019年に、在来線特急のチケットレスサービス専用の公式スマートフォンアプリを公開しました。
このアプリを使えば、あずさ・かいじ・ひたち・成田エクスプレスなどJR東日本管内の主要な在来線特急について、紙のきっぷを受け取らずにスマホ上で指定席予約し、そのまま乗車できるようになりました。
アプリには生体認証ログインや「マイシート」機能(お気に入り予約の登録・同一座席の再予約)など、スマホならではの便利機能も搭載されています。このリリースによって、従来ウェブ版えきねっとで提供されていたチケットレス乗車サービスをスマホで手軽に利用できるようになり、ユーザーの利便性が向上しました。
その2: 2020年 新幹線eチケットサービス開始でIC乗車を実現
次に挙げるアップデートは、2020年3月14日から提供が始まった「新幹線eチケットサービス」の導入です。JR東日本・JR北海道・JR西日本の3社は共同で、新幹線の指定席予約情報をICカードで認証するチケットレス乗車サービスを開始しました。
えきねっとで東北・北海道、上越、北陸新幹線などの予約を行い、Suicaなどの交通系ICカードを事前登録しておけば、新幹線改札にICカードをタッチするだけで乗車できます。これにより、紙の切符を受け取る手間が不要となり、新幹線の利用が格段にスムーズになりました。
新幹線eチケットサービス開始当初は、JR東日本エリアの新幹線に加えJR西日本・北海道エリア直通の列車も対象となりました。従来、東海道・山陽新幹線では「EXサービス(スマートEXなど)」によるIC乗車が普及していましたが、東北・上越方面でも同様のチケットレス化が実現したことで、多くの利用者にとって利便性が向上したと言えます。
なお、えきねっと上で事前受付した予約にも適用でき、ICカードとひも付けた予約情報はセンターサーバ上で一元管理されます。この大規模なアップデートに伴い、サービス開始直前には臨時メンテナンスが実施されました。2020年3月上旬には新サービス稼働準備のためシステム停止が行われたとの情報もあり(JR東日本の発表資料より)、新機能導入時には長時間のメンテナンスが避けられない状況でした。
その3: 2021年 20年ぶりの大規模リニューアルでUI刷新・ポイント統合
最後に紹介するのが、2021年6月27日に実施されたサイトの大幅リニューアルです。JR東日本はこの日にえきねっとのシステム更新を行い、「過去20年間で最も大規模なリニューアル」と位置付けました。
このリニューアルでは、ユーザーインターフェース(UI)の抜本的見直しや、新機能の追加、サービス内容の変更が数多く行われています。
具体的な変更点の一つは予約方法の改善です。従来は列車や経路を選択してから予約する形式でしたが、リニューアル後は乗車駅・降車駅と日時から経路検索して列車を選べるようになり、予約手順が簡素化されました。
また、座席指定画面では進行方向が表示され、号車の選択も柔軟にできるようになるなど、利用者目線でのUI改良が施されています。さらに、空席状況と料金を比較しながら自由席・指定席・グリーン車などを選択できる画面も導入され、より直感的な予約が可能になりました。
えきねっとのメンテナンス時間
ここでは、えきねっとにおけるメンテナンス時間帯の詳細を解説します。
毎日の定例メンテナンス時間は前述の通り、23:50~0:10および1:50~5:00です。この時間帯はJRきっぷ予約サービスの受付時間外となり、一切の予約関連操作ができません。
メンテナンス中にサイトにアクセスすると「現在メンテナンス中です」「ただいまの時間はJRきっぷの検索をご利用いただけません」といったメッセージが表示されます。つまり深夜0時前後と午前2時前後以降は、システムが自動停止している状態です。
この定例メンテナンス以外に、臨時のメンテナンス時間も設けられます。臨時メンテナンスは主にシステム更新や不具合対応、新サービス導入前後などに実施され、事前に日程が告知されます。期間は深夜から早朝にかけてが多く、具体的には「23:50~翌5:00」のように終電後から始発前いっぱいシステム停止となるケースが一般的です。
直近の例を挙げると、2025年8月28日や8月31日、9月2日など複数日にわたり臨時メンテナンスが予定され、各日深夜0時前から朝5時まで全サービスが休止されます。臨時メンテ時には通常の毎日メンテも含めその夜は長時間えきねっとが使えなくなるため、該当日に予約・変更などを検討している場合は特に注意が必要です。
まとめると、えきねっとのメンテナンス時間は毎日深夜(約20分+3時間10分)+必要に応じた臨時の長時間停止という形で設定されています。これはシステムの安定運用上やむを得ない措置ですが、利用者はその時間帯を避ける計画を立てることでトラブルを未然に防ぐことができます。
えきねっとのメンテナンスで注意すべきこと
最後に、えきねっとを利用する上でメンテナンスに関して注意すべきポイントを3つ解説します。これらを把握しておけば、「せっかく予約しようとしたのにメンテナンスでできなかった!」という事態を避けられるでしょう。
注意1: メンテナンス中は一切の予約・変更・受取ができない
当たり前のことですが、メンテナンス時間帯にはどんな操作もできない点に注意が必要です。具体的には、乗車券・特急券の申込・変更・払戻・取消・受取といった全てのサービスが停止します。途中まで入力していた予約手続きも、メンテ開始時刻になると強制的に中断されるおそれがあります。
例えば、23時50分からメンテナンスが始まるため、23時45分頃に入力を始めても完了が間に合わなければ予約確定できません。決済途中で日付が変わってしまった場合も、処理がエラーとなる可能性があります。
したがって、時間に余裕をもって操作を行いましょう。深夜帯ギリギリではなく23時40分頃までに完了させる、あるいは朝5時以降に改めて操作するように心がけましょう。特に新幹線や特急の発売開始直後を狙う場合、午前0時ちょうどや1時台後半はシステム停止中なので避け、発売再開直後の0時10分や5時00分を狙うのがポイントです。
注意2: 毎日深夜の定例メンテ時間帯を把握して計画を立てる
えきねっと利用者は毎日の定例メンテナンス時間(23:50~0:10と1:50~5:00)を常に意識しておくことが大切です。特に深夜に旅行プランを立てたり仕事後に予約しようとしたりする際、この時間帯に差し掛かると操作不能になります。
例えば、仕事が終わって夜中に明日の新幹線を予約しようと思ったら既にメンテナンス突入でできなかった…というケースも考えられます。こうした事態を避けるため、「えきねっとは深夜2時頃は使えない」と覚えておくのが賢明です。
また、予約可能時間外=メンテナンス時間であることも押さえておきましょう。えきねっとでは予約受付時間が決まっており、それ以外の時間帯はシステムメンテ中と案内されています。具体的には5:00~23:50および0:10~1:50が受付可能時間で、それ以外は停止中です。裏を返せば1:50~5:00は毎日完全クローズですので、この間にアクセスしても無駄足になります。
注意3: 臨時メンテナンス情報を事前にチェックし余裕をもつ
定例メンテナンス以外に突発的または計画的な臨時メンテナンスが実施されることがあります。公式のQ&Aでも「毎日夜間のメンテナンスの他に、臨時でシステムメンテナンスを行う場合があります」と明記されています。
この臨時メンテは数日~数週間前に公式サイトの「お知らせ」やQ&Aページで告知されるので、事前確認が重要です。特に大型連休前や新サービス開始前後には臨時メンテが入りやすいため、そのタイミングで旅行予約を考えている方は注意してください。
臨時メンテは通常、終電後から始発前までの時間帯に設定されますが、稀に長引いたり時間変更される可能性もあります。過去には深夜から朝にかけての予定が、作業状況により終了時刻が延長された例も報告されています。
したがって、臨時メンテ当日は、告知されている終了予定時刻より余裕を見て行動すると安心です。万一メンテ明け直後にアクセスが集中した場合でも、少し時間をずらせば徐々に繋がるようになります。
賢くメンテナンス時間を避けてえきねっとを活用しよう
以上、えきねっとのメンテナンス頻度や過去のアップデート、メンテナンス時間帯と注意点について詳しく解説しました。確かにえきねっとは毎日深夜に定期メンテナンスがあり、利用できない時間が存在するため「メンテナンスが多い」と感じられます。しかし、それは安全かつ正確な予約システム運用のために必要な措置でもあります。
過去のアップデートを見ると、スマホアプリの導入や新幹線eチケット開始、サイト大規模リニューアルなど、サービス向上の裏には必ずメンテナンスやシステム停止期間が伴ってきました。利用者としては不便に思う瞬間もありますが、そのおかげでえきねっとは徐々に便利で使いやすいサービスへと進化しています。実際、2021年のリニューアル以降、受付時間が拡大しメンテナンス時間は短縮されています。
大切なのは、メンテナンス時間をきちんと把握し、計画的に予約操作を行うことです。毎晩の定例メンテ時間帯や事前告知される臨時メンテ日程を踏まえて行動すれば、「予約したいのにサイトが停止中だった…」という事態を避けられます。公式のメンテナンス情報を確認しつつ、必要に応じて早め早めの手配や代替手段の検討をしておきましょう。
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