最近、長期間放置されPASMOカードが日光で金色に変色してしまった例も話題になりました。しかし、外見がどうあれ、古いPASMOを久しぶりに使おうとすると「残高があるのに改札を通れない」という事態が起こりえます。
本記事では、古いPASMOが使えなくなる理由とその残高を活用する方法、そして有効期限切れPASMOの処分方法について解説します。最後にスマホアプリ版PASMOの便利さにも触れます。
古いPASMOが残高があるのに使えないのはなぜ?
これに関しては、大きく2つの原因があると考えられます。
原因1 有効期限が切れている
古いPASMOが残高不足ではないのに使えない主な原因はカードの有効期限切れです。具体的には、最終利用日から10年が経過するとカード自体が無効化されます。
PASMOは、10年間使用がないといっさい使用することができなくなります。使用できなくなる前に、是非ご利用ください。
横浜市公式サイトより引用
このルールにより、チャージ残高やデポジットが残っていても、期限を過ぎたカードは改札や電子マネー決済で一切使用できなくなります。
これはPASMO取扱規則で定められたルールであり、多くの交通系ICカードで共通の取り決めです。背景には、ICカードの技術更新やシステム改良に伴い、あまりに古いカードを無制限に使わせない目的があります。実際、JR東海(TOICA)の案内では「長期間使われていないカードは最新のサービスに対応できなくなる恐れがあるため10年で失効扱いとするが、システムが対応できる間は使えるようにしている」と説明されています。50年も放置されたカードを急に持ち込まれても対応しきれないため、安全策として10年という期限を設けているのです。
原因2 長期間未使用による一時的なロック
もう一つ考えられるのが、長期間未使用による一時的なロックです。10年に満たなくても数年単位でPASMOを使わなかった場合、改札機にタッチしてもエラー表示が出てゲートが開かないことがあります。
JR東日本も「前回の利用から長期間経過しているSuicaは、チャージ残額が十分あっても利用できない場合があります」と案内しており、その際は駅係員に申し出るよう呼びかけています。PASMOの場合も同様で、公式サポートでは長期間使っていなかったPASMOが使えない場合の対処方法として、以下のような手順を案内しています。
- PASMOアプリやスマホのウォレットアプリでそのPASMOにクレジットカードから入金してみる。これによってカードの情報が更新され、再度利用できる可能性があります。
- それができない場合や効果がない場合、PASMOエリア内の駅の係員に「長期間使っていなかった」旨を申し出てカードを確認してもらいます。駅係員がICカードを機器に通すことでカードが再有効化され、再び改札を通れるようになるケースがあります。
古いPASMOが残高ありでも使えないのは、このような「有効期限切れ」または「長期間未使用による一時停止」が原因と言えるでしょう。
古いPASMOの残高を使うことは可能なのか?
残念ながら、有効期限が切れ失効してしまったPASMOの残高は基本的に利用できません。しかし、まだ失効していないPASMOであれば残高を使う方法があります。状況によって対応が異なりますので、以下でケースごとに解説します。
PASMOがすでに失効してしまった場合
残念ながら、失効後のPASMOでは残高を使うことも払い戻すこともできません。取扱規則上、「失効した場合、デポジット及び記録されている金銭的価値の返却請求はできない」と明記されています。
実際、PASMO公式も「最後の利用日から10年経過するとPASMOは失効するため、SF残額の払いもどしはできません」と案内しています。つまり、チャージ残高も預り金500円も原則として戻ってこないのがルールです。
ただし、ごく稀な例外措置として、失効後でも残高やデポジットを救済してもらえたケースも報告されています。たとえばJR東日本のSuicaでは、10年未使用で失効扱いになったカードでも「新しいSuicaカードへの交換」あるいは「払い戻し」のいずれかで対応してもらえると公式に案内されています。すなわち、有効期限の延長措置が取られ、チャージ残額を新カードに移し替えてもらえるのです。
一方、PASMOに関して公式の救済措置案内はありませんが、利用者の体験談として駅で相談したら特別に払い戻ししてもらえたケースもあるようです。ただし、この対応はあくまで約款上の例外措置であり、担当者や事業者の裁量による特別対応です。PASMO公式規定では認められていない返金なので、他の駅で断られても文句は言えません。
PASMOがまだ失効していない場合
カードが有効期限内であれば残高を使う方法は大きく2通りあります。1つはそのPASMOを使って交通機関や買い物で支払うこと、もう1つはカードを払い戻して現金化することです。まず、改札でエラーになる場合は前述のように駅係員に処理してもらえば再びカードを利用可能な状態にできます。
処理後はチャージ残高も含め通常通りICカードとして利用できるようになるため、電車・バスの乗車や電子マネー決済に残高を充当できます。実際、数年間使っていなかったPASMOが自動改札でエラーになったケースでも、駅員が機器でICカードを更新した後は問題なく改札を通過できています。
したがって、有効期限以内であれば残高はそのまま交通費や買い物に使えるのです。 もう1つの方法は払い戻し手続きをすることです。PASMOが不要になった場合、カードを対応する駅窓口に持参すればデポジット(500円)と未使用残高の払い戻しを受けられます。
払い戻しの際には手数料220円が差し引かれる点に注意が必要です。残高が1000円残っていれば、220円を引いた780円とデポジット500円が返金されます。
なお、チャージ残高が220円以下しかない場合、その全額が手数料として充当されてしまうため実質的に残高は返ってきません。そのため、残高が少額の場合は払い戻しに出すより使い切ってから返却したほうが得になります。
有効期限切れPASMOの処分方法
結論: 有効期限が過ぎて使えなくなったPASMOカードの処分方法としては、「駅で回収してもらう」か「自分で廃棄する」かの二通りがあります。それぞれの方法と注意点を解説します。
※ 記名式PASMOは個人情報保護の観点から、駅回収またはICチップを確実に破壊してから廃棄しましょう。
項目 | 要旨 | 解説 | 参考 |
---|---|---|---|
駅やバス事業者の窓口に持参する方法 | 窓口で回収・安全廃棄。 | PASMO取扱事業者の駅窓口へ持参し、回収(返却)してもらうのが最も確実。払い戻し手続き時もカードは回収される。有効期限切れや払戻対象外のカードでも、事情を説明すれば引き取り・適切処分が原則。特に記名式PASMOは個人情報保護の観点から、窓口回収が安心。 | pasmo.co.jp |
自分でカードを廃棄する方法 | ICチップを破壊して廃棄。 | 自分で処分する場合はハサミで数か所切断し、中央付近のICチップを確実に切り割る。モバイルPASMOへ移行した元カードは利用不可(無効化)となり、返却不要・自己廃棄の公式案内あり。廃棄は自治体の分別ルール(プラ/不燃)に従い、記名式は念のため細かく裁断。 | support.mobile.pasmo.jp |
以上のように、有効期限切れのPASMOカードは払い戻しができない以上、処分するしかありません。思い出として手元に残しておくのも一つの手ですが、再利用はできないためカードが増えてしまいます。繰り返しになりますが、期限切れになる前に使い切るか返却するのがベストです。その上で不要になったカードは適切に処分し、後述するモバイルPASMOなど新たな形でPASMOサービスを活用していきましょう。
まとめ:アプリも便利
古いPASMOの失効問題への対策として、スマートフォン用の「モバイルPASMO」アプリを活用する方法があります。スマホにPASMOを登録しておけば、カードを紛失したり長期間放置したりするリスクを減らせますし、チャージ残高の管理も容易になります。
定期券もアプリから購入でき、窓口に並ぶ必要もありません。実際に「財布からPASMOを出す手間が省けて快適」「残高切れでもすぐチャージできて安心」といった利用者の声もあります。
もっとも、「クレジットカードを持っていないとチャージが面倒」「スマホの電源が切れると使えない」といったデメリットもありますので、必ずしも全員にモバイルPASMOが最適とは限りません。
しかし、古いPASMOカードを失効させて残高を無駄にしてしまうリスクを避けるという点では、モバイルPASMOの活用は非常に有効です。PASMOカードをお持ちの方は、日頃から10年ルールを念頭に置きつつ、適度に利用を続けるかモバイルへの移行も検討するとよいでしょう。
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