青春18きっぷは、JR線の普通・快速列車が乗り放題になる人気の切符ですが、近年「もったいない」「オワコン」といった否定的な声が増えています。2024年の冬からシステムが大幅にリニューアルされ、使い勝手が変わったことで、その傾向はさらに強まっています。本記事では、青春18きっぷがもったいないと言われる具体的な理由と、より経済的な代替交通手段について詳しく解説します。
青春18切符とは?
青春18きっぷは、JRグループが春季・夏季・冬季の年3回発売する特別企画乗車券です。全国のJR線を走る普通列車・快速列車の普通車自由席が乗り放題となる切符で、1982年の発売開始から40年以上の歴史を持っています。
2024年冬からのリニューアルにより、従来の「5回分を任意の日に使用する」システムから、連続した3日間または5日間を指定して利用するシステムに変更されました。2025年春季の価格は、3日間用が10,000円、5日間用が12,050円となっています。
青春18きっぷで利用できる交通機関は以下の通りです:
- 日本全国のJRの普通・快速列車の普通自由席
- BRT(バス高速輸送システム)
- JR西日本宮島フェリー
ただし、新幹線や特急列車は利用できません(一部特例区間を除く)。年齢制限はなく、「青春18」という名前でも成人の利用が可能です。
青春18切符はもったいないと言われる理由
青春18きっぷに対する批判的な意見が増えている背景には、明確な理由があります。これから3つの主要な理由を詳しく説明します。
理由1:時間効率の悪さと体力的負担
青春18きっぷの最大の問題は、時間対効果の悪さです。普通列車のみの利用となるため、長距離移動には膨大な時間がかかります。具体的な問題点として、以下が挙げられます。
実際の利用者からは「長時間座りっぱなしの疲労」「普通列車の座席は固く長時間の乗車には向いていない」「腰や背中が痛くなった」といった声が報告されています。特に、混雑時には「椅子に座れないこともしばしば」という状況も発生し、長時間立ちっぱなしでの移動を強いられることもあります。
青春18きっぷの魅力とされる途中下車も、実際には「一本電車を逃せば数時間待ちもあり得て、目的地に到着できない可能性があった」という現実があります。長距離移動を目指すほどダイヤがシビアになるため、実質的に途中下車はできないというジレンマが存在します。
理由2:混雑と利便性の低下
青春18きっぷの利用期間中は、同じ目的で利用する人々で電車が混雑し、快適な旅行を阻害する要因となっています。
特に、夏休み期間などは「同じルートで青春18きっぷを使って観光しようとしている人と被ってしまい椅子に座れない」状況が頻発します。地方のローカル線では「本数が少なくて廃線間際になるとこれでもかという程人が集まってくる」現象も見られ、普段利用する通勤・通学客への迷惑も懸念されています。
青春18きっぷは自動改札機を通すことができるようになりましたが、従来は有人改札での確認が必要でした。これにより「いつも混んでるしトラブルとかなんて混雑していると更に時間がかかる」という問題が発生していました。
理由3:使い切りの困難さとコストパフォーマンス
リニューアル後の青春18きっぷは、連続利用が前提となったため、使い勝手が大幅に悪化しました。
従来は任意の日に分けて利用できましたが、現在は連続した3日間または5日間の利用が必須となりました。これにより「5日間連続だと利用不可能な人が多く出ることが予想される」状況となっています。現代の忙しいライフスタイルでは「5日間という長い日数を鉄道の乗車に充てられるということは考えにくい」のが実情です。
5日間の連続利用では「4泊もするとなると、宿泊費も相当かかる」ことになり、切符代の安さが宿泊費で相殺されてしまいます。さらに「現在は、ホテルの予約が取りにくい状況で、価格が高騰している」ため、総合的な旅行コストは決して安くありません。
青春18切符より安い交通手段はあるのか?
青春18きっぷよりも経済的で効率的な交通手段は複数存在します。特に高速バスと格安航空券は、価格と時間の両面で優位性を持っています。
その1 高速バス・夜行バス
東京-大阪間の高速バスは、時期により大幅に価格が変動しますが、非常に経済的です。2025年6月の最安値は1,800円から利用可能で、所要時間は約8時間となっています。青春18きっぷの5日間用(12,050円)で1日あたり2,410円と比較すると、高速バスの方が圧倒的に安価です。
夜行バスを利用すれば「睡眠中に移動ができる」というメリットもあり、宿泊費を節約できる点も魅力的です。ただし「所要時間が長く、身体への負担がかかる」というデメリットもあります。
格安航空券(LCC)
格安航空会社の航空券も青春18きっぷと競合する価格帯で提供されています。東京-大阪間では、時期により5,760円から利用可能で、所要時間は約1時間35分と圧倒的に短時間です。
利用者の意見として「JETSTARやPeachなどの格安航空券や新幹線の学割などを使えば、全国どこでも片道5,000-8,000円ほどで移動できる」との指摘があります。時間価値を考慮すると「この程度の差額で早く移動できるならば、わざわざ18きっぷを選ぶ理由はない」という結論に至る人も多いようです。
青春18切符はお得な交通手段なのか?
青春18きっぷがお得かどうかは、利用者の価値観と旅行スタイルによって大きく左右されます。純粋な経済効率だけで判断すると、必ずしも最適な選択肢とは言えない状況になっています。
青春18きっぷで元を取るためには、3日間用で1日あたり3,333円以上、5日間用で1日あたり2,410円以上の運賃が必要です。確かに長距離移動では元を取ることは可能ですが、前述の通り宿泊費や時間コストを考慮すると、総合的な費用対効果は疑問視されています。
青春18きっぷが向いているのは以下のような人です。
- お金を一円でも安くしたい人
- 車窓を楽しみたい人
- 電車が好きでずっと乗っていたい人
- 体力には自信がある人
逆に「大多数の人にはあまりお勧めしない」という専門家の意見もあります。特に「5,000円お得になって一日時間を浪費してしまうならば、その分アルバイトしたり、会社に出勤したりしてお金を稼いで、その分で快適な旅行をした方が良い」という時間価値を重視する考え方も説得力があります。
青春18きっぷの安価な設定は、鉄道業界全体に影響を与えています。「この安値によりJR各社で隣県まで使える1日乗車券類が軒並み2,600円~3,000円程度で抑えられて発売せざるを得なくなっている」という指摘もあり、適正価格での運営を困難にしている側面があります。
まとめ:計画的に利用しよう
青春18きっぷは確かに魅力的な交通手段ですが、「もったいない」と言われる理由には十分な根拠があります。時間効率の悪さ、混雑による快適性の低下、使い切りの困難さなどの問題を理解した上で、自分の旅行スタイルに適しているかを慎重に判断することが重要です。
特に、高速バスや格安航空券といった代替手段が充実している現在では、青春18きっぷの優位性は相対的に低下しています。純粋な移動手段として考えるのではなく、「普通列車での旅そのものを楽しむ」という明確な目的がある場合にのみ選択することをお勧めします。
最終的には、時間価値と経済性のバランスを考慮し、自分にとって最適な交通手段を選択することが大切です。青春18きっぷを利用する場合は、事前の綿密な計画と、十分な時間的余裕を持って臨むようにしましょう。
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