関西に住んでいる人たちのなかには、専用アプリを通じて交通系ICカードをスマホのウォレットに入れようと考えている人たちもいるはずです。その際に、Suicaにすべきか、それともICOCAにすべきか、迷うこともあるでしょう。実際のところ、両者にはどのような違いがあるのでしょうか?
この記事では、「モバイルSuicaとICOCAはどっちがいいのか?」という疑問について考察しています。それぞれのメリットとデメリットもまとめているので、SuicaとICOCAの選択に迷っている人たちは参考にしてみてください。
モバイルSuicaとICOCAの違い
モバイルSuicaとICOCAはスマホ端末に交通系ICカードをインストールできる便利なサービスです。けれども、あえて1つのサービスを選択するとしたら、両者の違いを具体的に理解する必要があります。ここでは、大きく3つの決定的な相違点を紹介していきます。
その1 オートチャージ機能がある
第1に、モバイルICOCAとの違いとして、モバイルSuicaにはオートチャージ機能があります。
オートチャージ機能とは、Suicaの残高が一定金額を下回ったら改札に入るタイミングで自動的に指定した金額が追加されるという仕組みです。これにより、残高不足で改札に入れないという問題が解決されます。とりわけ、1分1秒の細かいタイムスケジュールで移動している人にとってはチャージに時間を取られないので便利でしょう。
残念ながら、モバイルICOCAにはオートチャージ機能は実装されていません。現金やクレカ、あるいはポイントでしか残高を更新対応していないのです。これに関しては、西日本旅客鉄道株式会社の公式HPにも明確に記載されています。
モバイルICOCAでは、クイックチャージやオートチャージはできません。
チャージ方法は次のいずれかとなります。・ICOCAアプリにご登録の決済用カードでチャージ
西日本旅客鉄道株式会社公式HP『チャージ(入金)する』より引用
・現金チャージ
・WESTERポイントをチャージ
これはモバイルSuicaがICOCAよりも優れていると判断できる違いです。
その2 付与されるポイントが異なる
第2に、モバイルSuicaとICOCAでは付与されるポイントの種類が異なります。
モバイルSuicaは「JREポイント」というJR東日本グループのポイントサービスと連動しています。一方で、モバイルICOCAは西日本グループを主体とする「WESTERポイント」と連携しています。両者の相互利用はできませんが、たまったポイントは残高として活用できるほか、連携企業でのショッピングにも利用可能です。
ポイントが利用できる店舗には地域性が出るので、関東県ならSuica、関西圏ならICOCAという使い分けを検討する人たちもいます。
その3 改札の入場条件が違う
第3に、モバイルSuicaとICOCAでは改札の入場条件が異なります。具体的に言うと、Suicaは出発する駅から少なくとも隣の駅に降車するときの運賃が残高にないと改札に入れませんが、ICOCAは1円以上でもチャージされていれば改札に入ることが可能です。
然程の違いがあるとは言えませんが、急いでいるときに改札で止められないICOCAのほうが便利であると言えるでしょう。とはいえ、オートチャージ機能があるSuicaからすれば、「そもそも残高が足りなくて改札に入れない」という問題それ自体を防止できるので、利点と言えるほどの違いではないと言わざるを得ません。
モバイルSuicaとICOCAのメリット・デメリット
以上の違いを踏まえたうえで、モバイルSuicaとICOCAを比較したときのメリットとデメリットをまとめると、以下の表のとおりになります。
モバイルSuicaのメリット・デメリット
メリット | デメリット |
---|---|
メリット1 オートチャージ機能が使える メリット2 JREポイントが貯まる | デメリット 残高がないと改札に入れない |
モバイルICOCAのメリット・デメリット
メリット | デメリット |
---|---|
メリット1 残高1円以上で改札に入れる メリット2 WESTERポイントが貯まる | デメリット1 オートチャージ機能がない デメリット2 全国的に認知されていない |
冷静に考えると、交通系ICカードという電車の決済に使用するために作られたサービスと仕組みには、そこまで決定的な差は存在しないと言ってよいでしょう。全国の相互利用が解禁されている以上、今後もエリア以外の差別化はあまり期待できないと考えられます。
モバイルSuicaとICOCAはどっちがいい?
モバイルSuicaとICOCAのいずれか選ぶとしたら、どっちがいいのでしょうか?
強いて選ぶとするならば、残高を自動的にチャージできる「オートチャージ機能」が実装されたモバイルSuicaがよいと言えます。具体的に言うと、自分が指定した金額を一定金額を下回ると、改札の読み取り機にかざしたタイミングで電子マネーが追加される仕組みのことです。
これによって、急いでいるときに残高が足りないという問題は起きません。加えて、駅が混雑しているときに、券売機や窓口に並ぶ必要もないので、非常に効率的で便利です。残念ながら、モバイルICOCAには、まだ実装されていないので、その点を考慮すると「モバイルSuica」が優勢と評価できます。
ただ、中長期的な視点で見ると、モバイルSuicaに実装されている便利な機能がモバイルICOCAに応用されないわけがないので、遅かれ早かれオートチャージ機能が導入される可能性が高いです。そうなれば、どちらでも好きなICカードを使えばよいでしょう。
SuicaとICOCAを使い分ける必要はない
「JREポイントとWESTERポイントを効率よく貯めたい」という希望がある場合を除いて、SuicaとICOCAは、わざわざ使い分ける必要はありません。
繰り返しになりますが、SuicaやICOCAのような交通系ICカードは原則として全国どこでも利用できます。すなわち、モバイルSuicaでJR西日本の鉄道を利用できますし、モバイルICOCAでJR東日本の鉄道にも乗れるんです。
どの交通系ICカードも機能は同じなので、電子決済用に電車以外にもバス・コンビニ・飲食店・自動販売機などで使用できます。
実際、複数所持してしまうと、移動する際に切り替える手間が発生するので面倒くさいです。交通系ICカードを選ぶ時は、自分が住んでいる地域で使えるかつ恩恵があるICカードを使いましょう。
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